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2025.07.14

コーヒーのテイスティング方法:風味を正しく感じるコツ

コーヒーのテイスティング方法:風味を正しく感じるコツ

コーヒーの味わいを深く知るためには、「飲む」だけではなく「味わう」という意識が必要です。毎日の一杯をもっと楽しみたいと感じたら、ぜひテイスティングという世界に踏み込んでみてください。コーヒーをきちんと味わうことは、香りや風味、後味などに対する感性を養い、日常の一杯をより豊かなものにしてくれます。

このブログでは、コーヒーのテイスティングを通じて風味を正しく感じるための方法と、初心者でも楽しめる実践のコツをお伝えします。

テイスティングとは何か

コーヒーのテイスティングとは、コーヒーの香りや味の特徴を五感を使って確かめる行為のことです。専門的な場では「カッピング」とも呼ばれ、焙煎士やバリスタが品質や風味を評価するために用いる手法です。しかしそれは決してプロのためだけのものではなく、一般の愛好家でも楽しむことができる奥深い体験です。

テイスティングの魅力は、ひと口の中にある多層的な要素を「言葉にすること」で、味覚の世界がより明瞭になる点にあります。甘み、酸味、苦味、香ばしさなど、これまで何となく感じていたものを意識することで、コーヒーの表情がガラリと変わって感じられるようになるのです。

テイスティングの前に準備したいこと

正しく風味を感じるには、いくつかの準備が重要です。日常的な飲み方と違い、テイスティングでは「香り」「味」「後味」などをしっかり捉える必要があります。

1. 使用する豆の選定

複数の種類のコーヒー豆を用意して、それぞれを比較するのが理想的です。産地や焙煎度の異なる豆を選ぶことで、違いが明確にわかり、風味の幅を体感できます。

2. 淹れ方の統一

豆の違いを正確に感じるには、抽出条件を揃えることが大切です。お湯の温度、粉の量、抽出時間はなるべく一定にしましょう。特にハンドドリップやフレンチプレスは、テイスティングに適しています。

3. 環境を整える

香水や強い匂いのある場所では、香りの判別が難しくなります。できるだけ静かで匂いの少ない場所で行いましょう。また、直前の食事や歯磨きも味覚に影響するため注意が必要です。

香りを感じる

テイスティングでまず注目すべきは、香りです。コーヒーには焙煎や産地によってさまざまな香り成分が含まれており、その香りだけで風味の印象が大きく変わります

香りは大きく分けて「ドライアロマ(粉の香り)」と「ブレイクアロマ(お湯を注いだ瞬間の香り)」、そして「カップアロマ(飲むときに立ちのぼる香り)」の3つに分類されます。

  • ドライアロマ:豆を挽いた瞬間に感じる香り。フルーツのような甘さや、ナッツのような香ばしさが際立ちます。
  • ブレイクアロマ:お湯を注いだときの蒸気から立ち上る香り。ここで最も強く、複雑な香りが広がります。
  • カップアロマ:口に運ぶ瞬間に感じる香り。飲む直前の香りは、味覚と密接に関係します。

時間をかけて丁寧に香りを感じることで、ただの一杯に深い個性が宿っていることを実感できるでしょう。

味の構成を理解する

味わいを評価するには、口に含んだ瞬間から、飲み終えた後の余韻までを意識的に観察する必要があります。コーヒーの味は多くの要素から構成されており、それぞれに名前と意味があります。

  • 酸味:柑橘系のような爽やかさや鋭さ。酸っぱいというよりは「明るさ」として感じられます。
  • 甘み:砂糖とは異なる、穀物やフルーツ由来の自然な甘さ。
  • 苦味:焙煎や抽出によって生まれる味。強ければ良いというものではありません。
  • ボディ:液体の重たさやコク。口の中に残る感触がそのコーヒーの豊かさを示します
  • アフターテイスト:飲み込んだ後に残る味や香り。長く残るものは「余韻が豊か」と言われます。

これらを意識しながら飲むことで、普段見過ごしていた味のバランスや変化がはっきりと感じられます。

テイスティングのポイントと実践方法

初心者でも簡単に始められる方法として、自宅で数種類のコーヒーを用意し、同じ条件で淹れて比べる「比較テイスティング」がおすすめです。

  • 少量ずつ複数のコーヒーを用意する
  • 同じ温度と抽出方法で淹れる
  • 香り・味・余韻ごとにメモを取る
  • 感じた印象を言葉にしてみる

最初はうまく表現できなくても問題ありません。「なんとなく好き」や「すっきりしている」などの感覚が、テイスティングの第一歩です。何度か繰り返すうちに、言葉のバリエーションも増えていきます。

また、同じ豆でも、焙煎の違いや淹れ方で大きく印象が変わることに気づけるようになると、自分の好みもより明確になります。

まとめ

コーヒーのテイスティングは、日常の一杯をより豊かなものにしてくれる素晴らしい体験です。香りを深く吸い込み、口に含んで味の層を探り、飲み終えた後の余韻を楽しむ。そのすべてが、自分自身の感覚と向き合う貴重な時間となります。

道具や知識がなくても、まずは「意識して味わう」という心持ちだけで、コーヒーとの関係が少しずつ変わっていきます。お気に入りの豆をより深く知ることができれば、日常の中にある一杯が、まるで新しい体験のように感じられるでしょう

忙しい日々のなかで、自分と向き合う静かな時間を持つことはとても大切です。そんなひとときに寄り添う一杯として、テイスティングを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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