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2025.09.15

新品種と新精製方法|進化し続けるコーヒーの世界

新品種と新精製方法|進化し続けるコーヒーの世界

コーヒーは今や私たちの生活に欠かせない存在となっています。毎朝の一杯や仕事中のリフレッシュ、リラックスタイムの相棒として、多くの人に親しまれています。
その一方で、コーヒー業界は常に新しい挑戦を続けており、ここ数年で注目されているのが「新品種」と「新精製方法」です。
これらは単なる流行ではなく、気候変動への対応や生産者の持続可能性、さらには消費者が楽しむ味わいの多様化に直結する大きな変革の波です。

この記事では、新品種と新精製方法について、それぞれの特徴や背景、そしてコーヒーを選ぶときに楽しめるポイントを詳しくご紹介します。

新品種が生まれる背景

コーヒーの「品種」は、ワインでいうブドウの品種のような存在です。
代表的なアラビカ種の中にも、ティピカやブルボン、カトゥーラなど数多くの品種があります。

近年、この品種開発に注目が集まっている理由にはいくつかの要因があります。

  1. 気候変動への対応
    世界的に気温上昇や異常気象が問題となっており、従来の品種では病害虫や環境の変化に弱いケースが増えています。そこで研究機関や農園が取り組んでいるのが、耐病性や耐乾性を持つ新品種の開発です。
  2. 風味の多様化
    これまでのコーヒーは産地ごとの特徴が重視されてきましたが、最近では消費者がより複雑でユニークな風味を求めるようになっています。新品種は、既存の品種を掛け合わせることで、酸味や甘み、香りの新しい組み合わせを実現しています。
  3. 生産者の持続可能性
    収量が安定する品種や市場価値の高い品種を導入することで、生産者の生活が守られることも大きな目的のひとつです。

注目される新品種の例

ここでは、近年特に注目を集めている新品種をいくつかご紹介します。

  • ゲイシャ(Geisha)
    新品種というより再評価された品種ですが、エチオピア原産で、2000年代にパナマでの栽培が世界的に注目を浴びました。ジャスミンやベルガモットを思わせる華やかな香りが特徴で、オークションで高値を記録することも珍しくありません。
  • ハイブリッド品種
    病害虫に強い「カティモール」や「カスティージョ」など、耐性を重視した交配種も増えています。これらは農家にとって育てやすく、安定した収量が期待できるため、生産国で積極的に広がっています。
  • 実験的なクロスブリード
    一部の農園では、既存の有名品種を掛け合わせて、まったく新しい風味を持つ豆を開発する取り組みも行われています。クラフトビールのように個性的で限定的な品種が、コーヒー愛好家の間で話題になっています。

精製方法の進化

精製方法の進化
コーヒーの味を大きく左右するのが「精製方法」です。
精製とは、収穫したコーヒーチェリーから豆を取り出し、乾燥させて出荷するまでのプロセスを指します。
従来は大きく分けて3種類が主流でした。

  • ウォッシュト(水洗式):爽やかでクリーンな味わい。
  • ナチュラル(乾燥式):果実感が強く、甘みやフルーティーさが際立つ。
  • ハニー(パルプドナチュラル):その中間で、甘さとバランスが魅力。

しかし近年はこの枠を超えた「新しい精製方法」が次々と登場しています。

新精製方法の代表例

1.アナエロビック・ファーメンテーション(嫌気性発酵)

酸素を遮断したタンク内で発酵を行う方法です。
ワインの発酵に近い手法で、複雑でユニークなフレーバーを生み出します。チョコレートやスパイス、トロピカルフルーツを思わせる個性豊かな味わいが特徴です。

2.カーボニック・マセレーション

赤ワインの製法からヒントを得た方法で、二酸化炭素を利用して発酵を進めます。
香りが華やかで、まるでフルーツポンチのような鮮やかな風味を感じられることがあります。

3.実験的な乾燥法

一部の農園では、乾燥のスピードや環境をコントロールし、風味を調整する取り組みも行われています。例えば日陰でじっくり乾燥させることで甘みを引き出すなど、独自の工夫が凝らされています。

消費者が楽しめるポイント

新品種や新精製方法は、プロ向けの情報と思われがちですが、実は私たち一般のコーヒー愛好家にとっても大きな魅力があります。

  • 味わいの幅が広がる
    これまでの「酸味か苦味か」といった単純な選択ではなく、ワインのように「フルーティーで華やか」「スパイシーで複雑」といった細やかな表現が楽しめます。
  • コーヒーのストーリーを感じられる
    どのような農園で、どんな工夫をして作られたのかを知ると、一杯の価値がぐっと高まります。特にECショップで購入する際には、生産背景の説明も一緒に読むと、より深い理解につながります。
  • 特別感を味わえる
    新品種や新精製方法で作られたコーヒーは数量が限られていることが多く、「ここでしか味わえない一杯」として特別な存在になります。

まとめ|進化するコーヒーを自宅で楽しむ

コーヒーは長い歴史を持ちながらも、常に新しい挑戦によって進化し続けています。
新品種の開発は未来のコーヒー文化を支えるものであり、新しい精製方法は私たちの味覚に驚きをもたらしてくれます。
当ショップでも「新品種」や「新精製方法」のコーヒーをご紹介しています。そこには、従来のコーヒーでは出会えない奥深い味わいやストーリーが詰まっています。ぜひ一度お試しいただき、毎日の一杯をもっと楽しく、もっと豊かにしてみてください。

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