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2025.09.15

コーヒーの温度計:理想的な抽出温度を知ろう

コーヒーの温度計:理想的な抽出温度を知ろう

おいしいコーヒーを淹れるためには、豆の鮮度や挽き目に注目しがちですが、実は「お湯の温度」も重要な要素です。
数度の違いで、風味や香り、口当たりが大きく変わることがあります。そこで役立つのが「温度計」。正確な温度を把握することで、味わいをコントロールしやすくなります。
本記事では、温度管理の基本から温度計の活用法まで、実践的なポイントをご紹介します。

温度が変えるコーヒーの味わい

お湯の温度によって抽出される成分が変わり、風味に違いが出ます。

  • 高温すぎる場合:苦味や渋味が強調され、重たい味わいになる
  • 低温すぎる場合:酸味が前に出やすく、軽い印象になるがコク不足になりやすい

このように温度は、味の方向性を左右する大切なコントロール要素なのです。

焙煎度に応じた温度の目安

焙煎度によって、適した抽出温度の傾向があります。以下はあくまで目安です。

焙煎度

温度の目安

特徴

浅煎り(ライト〜シティ)

90〜92 ℃

明るい酸味や華やかな香りを引き出す

中煎り(ミディアム〜フルシティ)

88〜90 ℃

酸味と甘みのバランスが整い、丸みのある味わいに

深煎り(フレンチ〜イタリアン)

85〜88 ℃

苦味とコクをやわらげ、まろやかな余韻に

この温度帯を基準にしつつ、好みに合わせて調整するのが理想です。

冷めていく過程で変わる風味

抽出したてのコーヒーは熱々ですが、時間が経つにつれ温度とともに印象も変わります。

  • 抽出直後(90 ℃前後)香りが立ち、力強い味わい
  • 60〜70 ℃甘みと酸味がなじみ、飲み頃とされることが多い
  • 常温に近づく頃:甘みが引き立ち、後味がやさしく広がる

一杯の中で移り変わる風味を楽しむのも、コーヒーの魅力のひとつです。

アイスコーヒーの抽出と温度調整

ホットコーヒーをそのまま冷やすのではなく、最初の抽出温度を工夫することで、アイスでも味わいを調整できます。
ここで言う「低めの温度」はお湯を使った抽出であり、水出しコーヒー(コールドブリュー)とは異なります。

  • 高めの温度(93〜96 ℃)で濃く淹れる
    → 氷で急冷しても香りとコクがしっかり残る
  • やや低めの温度(85 ℃前後)でホット抽出してから冷やす
    → 苦味が抑えられ、軽やかで爽快な口当たりに

同じ豆でも温度調整によって仕上がりが大きく変わるため、シーンや好みに合わせて試してみましょう。

温度計を使うメリット

温度計を取り入れると、次のようなメリットがあります。

  • 味の再現性が高まる気に入った一杯を数値で再現できる
  • 豆の特徴に合わせやすい浅煎りは高め、深煎りは低めと自在に調整可能
  • 失敗が減る:苦すぎる・薄すぎるといった味のブレを防げる

「安定したおいしさ」が手に入るのが大きな利点です。

温度計の種類と選び方

温度計にはいくつかのタイプがあります。

  • アナログ式価格が手ごろで扱いやすいが、表示にやや時間がかかる
  • デジタル式測定が速く正確。アラーム機能付きもあり本格派におすすめ
  • 温度調整ケトル:沸かす時点で設定温度にできるため、手間が少なく初心者にも便利

ライフスタイルや求める精度に合わせて選ぶと良いでしょう。

温度計がなくてもできる工夫

温度計がない場合でも、次のような工夫で抽出温度をコントロールできます。

  • お湯を沸騰させたあと30〜60秒ほど置いてから使う
  • ドリッパーやサーバーをあらかじめ温め、温度低下を防ぐ
  • 注ぎ始めを少し高めの温度にし、抽出中の変化を見越す

ちょっとした配慮で味の安定感が大きく変わります。

まとめ|温度で広がるコーヒーの楽しみ

コーヒーは、温度によってまったく異なる表情を見せてくれる飲み物です。

  • 焙煎度ごとに適した温度帯がある
  • 飲み頃は冷めていく過程で変化する
  • アイスも湯温調整次第で仕上がりが違う

温度計を使えば、その違いをより正確に再現でき、自分好みの一杯を追求しやすくなります。
日常のコーヒーをさらに豊かに楽しむために、温度管理を意識してみてはいかがでしょうか。

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