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コーヒーの精製方法 ウォッシュトとは?

コーヒー豆の品質や風味に大きな影響を与える「精製方法」。その中でも、世界中で広く採用されているのが「ウォッシュト(Washed)」と呼ばれる方法です。
この記事では、ウォッシュト精製の特徴や工程、味わいの傾向、おすすめの飲み方について詳しくご紹介します。コーヒー豆専門のECショップとして、これからコーヒー選びをする方にも役立つ情報をお届けします。
ウォッシュト精製とは?
ウォッシュト精製は「水洗式」とも呼ばれる方法で、収穫したコーヒーチェリーの果肉を水で洗い流し、発酵や乾燥を経て豆を取り出す精製工程です。
この方法は、コーヒー豆本来のクリーンな味わいや酸味を引き出すことに優れており、特に高品質なアラビカ種でよく採用されます。
ウォッシュト精製の主な工程
ウォッシュト精製は以下のステップで行われます。
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収穫と選別 熟したコーヒーチェリーだけを選んで手摘みします。水に浮かべて未熟な実を取り除く「フローティング」もこの段階で行われます。
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果肉除去(パルピング) 専用の機械でコーヒーチェリーの外皮と果肉を取り除きます。残ったのは「ミューシレージ」と呼ばれる粘液質をまとった生豆です。
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発酵 ミューシレージを取り除くため、発酵槽に入れて自然発酵させます。発酵時間は気候や標高により異なりますが、一般的に12〜36時間程度です。
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水洗 発酵によって柔らかくなったミューシレージを水で洗い流します。ここでしっかり洗浄されることで、クリーンな風味に仕上がります。
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乾燥 天日干しや機械乾燥で水分を約10〜12%まで落とします。乾燥の過程も風味に影響するため、丁寧に管理されます。
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脱殻と選別 乾燥後、パーチメントと呼ばれる薄皮を取り除き、サイズや欠点豆の選別を行ってから出荷されます。
ウォッシュト精製の特徴と味わい
ウォッシュト精製の最大の特徴は、クリーンで繊細な味わいが引き出される点です。果肉由来の甘みや個性は控えめになりますが、豆本来の持つ酸味や香りが際立ち、雑味のないスッキリとした風味が楽しめます。
たとえば、以下のような味わいが期待できます
- 柑橘系のような爽やかな酸味
- 花のような香りやフローラルな印象
- 口当たりが軽く、すっきりとした後味
エチオピアやケニア、コロンビアなど標高が高く、酸味に富んだ豆との相性が非常に良く、テロワール(産地特有の個性)を感じられる仕上がりになります。
ナチュラル精製との違いは?
精製方法 |
味の特徴 |
向いている豆 |
ウォッシュト |
クリーンで酸味が際立つ |
エチオピア、ケニアなど |
ナチュラル |
フルーティで甘さが強い |
ブラジル、エチオピアなど |
ウォッシュトコーヒーのおすすめの飲み方
ウォッシュト精製の豆はその繊細な味わいを活かすために、ハンドドリップやエアロプレスなど、抽出をコントロールしやすい方法がおすすめです。
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浅煎り〜中煎りが基本:ウォッシュトの良さである酸味や香りを感じやすい焙煎度です。
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お湯の温度はやや低め(88〜92℃)がベター:高すぎる温度は酸味を強調しすぎる場合があります。
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一杯ずつ丁寧に抽出することで、風味のバランスが取りやすくなります。
ウォッシュト精製のコーヒー豆を選ぶときのポイント
ウォッシュト精製の豆を選ぶ際には、以下の点に注目してみましょう。
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生産国や標高の記載があるか:高地産の豆ほど酸味が際立ちます。
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焙煎度の表示:浅煎りか中煎りがウォッシュト向きです。
- テイスティングノート:柑橘系、フローラル、ハーブなどの記載があればウォッシュトらしさが感じられます。
まとめ
ウォッシュト精製は、水を使って果肉や粘液質を丁寧に取り除くことで、豆本来のクリーンな風味を際立たせる精製方法です。酸味のバランスが良く、透明感のある味わいが特徴で、スペシャルティコーヒーの世界でも高く評価されています。
つまり、ウォッシュト精製はコーヒーの個性を引き出す技術とも言えるでしょう。豆の品種や産地ごとの特性がストレートに表れるため、味の違いを楽しみたい方におすすめです。ぜひ一度、ウォッシュト精製による豆を手に取り、その繊細な味の世界を体験してみてください。